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疲労回復

新年度が始まり、環境の変化に少しずつ慣れてくるこの時期、気づかないうちに疲れがたまってきたと感じる方も多いのではないでしょうか。疲労は「体がだるい」「筋肉が思うように動かない」といった感覚として現れますが、疲れを感じるメカニズムはとても複雑です。

スポーツや日常生活のさまざまな活動によってエネルギーが消費されると、体内では代謝に変化が起こり、体温や心拍数、血流といった生理的変化が生じます。
こうした身体の変化はすべて脳へと伝えられ、「いま自分の身体はどのような状態なのか」という情報として統合されます。そして、その状態に応じて身体活動の持続や強さが調整される中で、「疲労」を感じます。

筋肉の活動によって生じるは乳酸にゅうさん、かつては疲労を引き起こす物質と考えられていましたが、現在ではエネルギー源として再利用される重要な代謝産物であることが明らかになっており、スポーツにおける疲労は単一の物質によって生じるものではなく、エネルギー代謝の変化やイオンバランスの変動、体温上昇、炎症性サイトカインの産生など、末梢で起こるさまざまな生理的変化が神経系を介して脳に伝達され、その情報が中枢で統合されることによって生じる現象と考えられています。

したがって、疲労の感じ方は身体活動の量だけで決まるものではなく、その情報を統合する中枢の働きによっても左右されます。
実際に、身体の状態と疲労感は必ずしも一致するとは限らず、毎日同じ運動をしていても、そのときの体調や環境、緊張や心理的ストレスといった精神状態によって感じ方が変わるのは、脳の働きが関係しているためです。

それでは疲労を回復させるためには、どのようなことが必要なのでしょうか。疲労は筋肉の運動だけで生じるものではなく、脳が全身の状態をもとに感じている感覚です。その背景には、セロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の働きや、自律神経のバランスが関わっています。

これらは、睡眠不足や強いストレス、生活リズムの乱れによって影響を受けやすく、疲労の感じ方が変わる要因となります。規則正しい睡眠を確保し、起床・就寝のリズムを整えることに加えて、過度なストレスを持続させないことも重要です。

いつもしている仕事やスポーツ以外のことに意識を向け、リラックスする時間を意識的に持つことも神経伝達物質や自律神経の働きによい影響を与え、結果として疲労の感じ方に変化をもたらします。

また、疲労回復を考えるうえでもう一つ鍵となるのが、筋肉や末梢組織への血流です。身体活動によって生じたさまざまな変化から回復するためには、血液によって酸素や栄養が運ばれ、不要となった物質が回収されることが欠かせません。

血流が十分でなければ、この循環は滞り、回復の過程にも影響が及びます。末梢の血流は自律神経によって調整されているため、疲労からの回復には自律神経のバランスが極めて重要なのです。

こうした血流や自律神経の働きを補助する手段の一つとして、近年注目されているのがリカバリーウェアです。ポリエステルやナイロンといった合成繊維の中に、セラミックや鉱物(酸化チタン、シリカなど)を微細に練り込んだものがあり、これらの素材は体温を受けて遠赤外線を放射し、それが皮膚で再吸収されることで血流や筋の状態に影響を与えるよう設計されています。

また、身体に適度な圧を加えて循環を補助する圧着タイプのウェアもあり、四肢の静脈還流を促すことで、むくみや筋のだるさの軽減を図るものもあります。こうした特性を踏まえると、リカバリーウェアは血流や自律神経が整いやすい環境づくりを補助する手段の一つといえます。

ただし、疲労回復は休養や睡眠、栄養といった日常生活の中で本来進んでいくものです。
身体は本来、自ら疲労から回復する仕組みを備えています。
まず整えるべきは特別な方法ではなく、日々の生活習慣そのものです。

こうした基本が保たれてはじめて、さまざまな手段も意味を持つようになります。

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▶︎ こちらの記事は長野県のスポーツを応援するWEBマガジンSPOCOLOR(スポカラ)にて連載しているコラムを掲載しております。